最後の社会貢献「遺贈寄付」
終活ではさまざまな悩みごとが起こります。その中でも遺産に関することは、お金が関係するということもあり、遺される家族に対しても配慮をする必要があるなど大きな課題と言えます。
そんななか、最近注目され始めているのが「遺贈寄付」です。
遺贈寄付とは
遺贈寄付とは、自身が亡くなったときに財産を自治体やNPO法人などに寄付することを言います。
「自分が死んだあと、残っているお金を世のため人のために使ってほしい」という想いを組み実現できる仕組みと言えます。
遺言書を作って生前のうち寄付先を決めておくことで、死後に指定しておいた遺言執行者が寄付してくれます。
高まる遺贈への興味関心
「遺贈寄付」という言葉自体はまだ世間一般的とは言えませんが、実際にこうした仕組みに対する世間の関心は徐々に高まっています。
日本財団が2020年にインターネット調査(60〜70代の男女2,000人)を行ったところ、以下のような結果が現れました。
- 約28%が「遺贈寄付」という意味を含めて知っていた
- 約30%が遺贈や寄付に興味関心がある
トラブルへの心配も
遺贈への関心が高まる一方、トラブルへの心配も垣間見えます。上のアンケートでは以下のような不安が寄せられました。
- 必要な手続きがわからない
- 寄付先が自分の意思に沿って使ってくれるのか不安
- どこに相談したらいいかわからない
遺贈寄付のメリットは?
遺贈寄付のメリットとして挙げられるのはやはり「お金の使い道を自分で決められること」。そしてその意志を明確かつ確実に反映できるのは、遺言による寄付でしょう。
遺言の種類としては以下の2つがあります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
作成の手間や費用はかかるものの、紛失や内容の改ざんリスクが少ない公正証書で作成するのが安心と言えます。一方、2020年には法務局で自筆証書遺言を保管する制度も始まったため、こうした仕組みを活用することも良いです。
遺族に財産が残らなくなる?
ちなみに「寄付によって遺族に財産が残らなくなるのでは」という心配もあるでしょう。これについては遺言作成の際に、配偶者らが法律に基づいて一定の財産を取得できる「遺留分」を侵害しないようにして寄付の金額を記載しておくことで回避できます。