
令和5年の四月、春の息吹を感じさせる温かな風が街を包む中、我々は青森県某市の市営住宅で遺品整理の重大な任務に取り組みました。
ある住居で、時の流れと共に息を引き取られた方がいました。人生の最期を迎える場所は、静寂に包まれたこの写真1枚目に写るお部屋でした。そこには深い静寂が広がり、ゴミがあふれる光景が目の前に広がりました。その光景は一人で最期を迎えた方の深い寂しさを象徴するもので、我々はその光景から目を背けることはできませんでした。
依頼をしてくれたのは、関西方面に住んでいる方のお亡くなりになった方の姪さんでした。彼女から預かった任務は、とても繊細で深い敬意を必要とするものでした。
作業はまず最初に、依頼主から探してほしいとされた物(通帳や印鑑、貴重品等)や、保管すべき物(写真や書類等)の存在を確認する作業から始めました。その後は、可燃・不燃・粗大ごみ、資源ごみなどに分別整理し、それぞれを適切に搬出して処分する作業に取り掛かりました。そして最後に、部屋全体の清掃と消臭作業を行い、部屋を清潔で新たな生活が始められる状態にまで戻しました。
近年、核家族化が進行し、ご老人の孤独死が増えていることを、私たちは肌で感じています。それぞれの家庭の事情があり、それぞれの理由がある中で、誰かが必ずやらなければならない、これらの整理作業。私たち組合は、その任務を真心こめて、一つ一つ丁寧に行っています。
生涯を終えた方々の人生の痕跡、記憶、価値を大切にしながら、私たちは遺品整理を通じて、人生の尊さと刹那性を改めて認識します。それぞれの部屋から発見される品々は、その人が歩んできた道のりを静かに物語っています。これらの作業を通じて、私たちは人間の生の尊厳を深く感じ、その一部を引き継いでいく重大な使命感を抱いています。
2023.06.07
遺品整理は、亡くなった大切な人の遺品を整理し、家族や遺族が新たな生活に向けて前進するための大切なプロセスです。しかし、遺品整理は感情的な負担が大きく、心身のストレスがかかることも少なくありません。そこで、この記事では遺品整理と認知行動療法を組み合わせることで、心のケアをサポートする方法をご紹介します。
遺品整理を行う際、多くの人が悲しみや喪失感、罪悪感など様々な感情に襲われます。このような感情は、遺品整理を進める上での大きな障害となることがあります。認知行動療法は、このような感情の取り扱いを改善するのに役立つ心理療法の一つです。
認知行動療法(CBT)は、自分の考え方や信念を変えることで、感情や行動に対する悪影響を軽減する心理療法です。認知行動療法は、遺品整理における感情の取り扱いにも役立ちます。
以下は、遺品整理と認知行動療法を組み合わせた心のケアの方法です。
遺品整理を行う際に、過去の思い出や遺族との関係に対する認知の歪みが生じることがあります。認知の歪みに気づき、それを正すことで、遺品整理を進める際の感情的な負担を軽減できます。例えば、「すべての遺品を手放すべきではない」という考え方は、遺品整理がうまく進まない原因になります。そうした認知の歪みを見つけ、自分の感情や行動にどのように影響しているかを理解しましょう。
遺品整理中には、様々な問題や困難が発生することがあります。認知行動療法を用いて問題解決スキルを身につけることで、遺品整理におけるストレスや苦痛を軽減できます。具体的には、問題や困難を小さなステップに分解し、それぞれに対処する方法を考えることが効果的です。
遺品整理を通じて感じる悲しみや喪失感、罪悪感などの感情に対処する方法を学ぶことが重要です。認知行動療法では、感情に対処する方法として、リラクセーション法やマインドフルネスを活用します。リラクセーション法は、呼吸法や筋肉の緊張と弛緩を通じて、心身の緊張を緩和する方法です。マインドフルネスは、現在の瞬間に意識を向け、感情や考えを客観的に観察する瞑想法です。これらの方法を取り入れることで、遺品整理中の感情に対処し、心のケアをサポートできます。
遺品整理は、遺族や関係者とのコミュニケーションが重要なプロセスです。認知行動療法を通じて、効果的なコミュニケーション能力を向上させることができます。具体的には、以下の方法が挙げられます。
アサーションとは、自分の意見や感情を適切かつ自己主張するコミュニケーションスキルです。遺品整理中に生じる意見の相違や感情の衝突を円滑に解決するために、アサーションを練習しましょう。相手の意見を尊重しつつ、自分の意見も適切に伝えることが大切です。
遺品整理に関わる人々は、それぞれ異なる感情や価値観を持っています。相手の立場を理解し、共感することで、遺品整理を円滑に進めることができます。マインドフルネスやリスニングスキルを活用して、相手の気持ちや考えを理解しましょう。
遺品整理は、協力して行うことが望ましいです。認知行動療法を用いてチームワークを築くことで、遺品整理を効率的かつ円滑に進めることができます。具体的には、遺族や関係者との定期的なミーティングや、進捗状況の共有を行うことで、チームワークを強化できます。
遺品整理中には、自分自身の心身のケアも大切です。認知行動療法を用いたセルフケアは、遺品整理中のストレスや感情のケアに役立ちます。セルフケアの方法として、十分な睡眠や適度な運動、栄養バランスの良い食事、リラクセーション法やマインドフルネスの実践などが挙げられます。これらの方法を取り入れることで、遺品整理を通じて心のケアをサポートしましょう。
2023.04.03
エンディングノートというと「自らが亡くなった時に備えて用意しておくもの」と考える方が多いと思います。
しかしエンディングノートに書き記した内容は意外にも、生前の自分を助けてくれることもあります。… 続きを読む
2022.12.27
終活ではさまざまな悩みごとが起こります。その中でも遺産に関することは、お金が関係するということもあり、遺される家族に対しても配慮をする必要があるなど大きな課題と言えます。
そんななか、最近注目され始めているのが「遺贈寄付」です。
2022.10.24
「遺しておきたいけど書く手間が億劫」「紙に書くのだと内容を書き換えるのが難しい」など、エンディングノートに関する悩みはさまざま。
将来、家族や親戚に迷惑をかけないためにもきちんと遺しておきたいという一方で、上のような理由からエンディングノートをなかなか書き進められないという方も多いのではと思います。
そんな方でもスマートフォンやタブレットを活用することで、すきま時間に少しずつ書き進められるエンディングノートもあります。
三菱UFJ信託銀行が2020年にリリースしたスマホ用アプリ「わが家ノート」は、文字通りエンディングノートを作ることができるアプリです。銀行に口座がなくても利用できます。
「わが家ノート」にはエンディングノートに関係したさまざまな機能があり、大きくは以下の3つが備わっています。
機能の中には、家族へのメッセージをビデオ録画できたり、財産リストをかんたんな流れで作成していけるなどもあります。
また記録した情報は、同アプリをインストールした他の家族へ送信も可能。その送信のタイミングも「今すぐ」「死亡後」「認証診断後」の3つが選べます。
「わが家ノート」はiPhone用・Android用の両方で利用できます。無料で使用できるのでお試しで使ってみて、良さそうであれば継続してみるということもしやすそうです。
2022.08.20
現代ではシニア世代においてもスマートフォン(スマホ)やタブレットを使うことがごく一般的になっています。
複雑な操作は覚えるのが難しくても、スマホで電話をかけたりLINEでやり取りをしたり、写真を撮影したりなど、スマホは日常生活で世代を問わないツールとなっています。
そこで気になるのがいわゆる「デジタル遺品」問題です。
2022.06.30
前回の遺品整理コラム「エンディングノートに書いておきたい内容2」では、エンディングノートに書いておくとよい内容のうち、看護や介護に関することについてご紹介しました。
今回は告知や余命宣告に関わる事態に備え、エンディングノートに記載しておくとよい内容についてご紹介します。
2022.04.26
前回の遺品整理コラム「エンディングノートに書いておきたい内容1」では、エンディングノートに書いておくとよい内容のうち
もしものときの連絡先や身分を証明するもの
健康に関する情報
についてご紹介しました。
今回は看護や介護などに関連した内容についてご紹介します。
2022.02.25
昨年12月津軽地区の某アパートで30代の方が自殺、その後の遺品整理を行いました。
自殺の意図は分かりませんが依頼主の親の心中を考えると言葉がありません。
遺品整理業務は「10人10色」ではありませんが様々な状況があり、
ある意味人生の縮図にも見えるかもしれません。
今回のケース、老いて亡くなる方、酒浸りの方、ゴミ屋敷で生活 等
作業に当たる前は色々考え複雑な心境です。
この度はアパートの供養お祓いも行いました。
あおもり遺品整理協同組合は様々な案件に親切丁寧に対応致します。
2022.01.12
前回の遺品整理コラム「エンディングノートはなぜ作ったほうがいいのか。メリットは?」では、エンディングノートを作るうえでのメリットについて紹介しました。
2021.08.30
前回の遺品整理コラム「エンディングノートと遺言書の違い」では、エンディングノートと遺言書の大きな違いとして、法的効力の有無などを取り上げました。
2021.07.28
自分の死後に残された者へ伝えるべき事項をまとめ、ノート形式で記入する「エンディングノート」。本人が生前に残しておくことで、将来残された家族に対する様々な負担を軽減することにもつながることから利用者が増えています。
2021.06.29
遺品整理におけるデジタル製品、いわゆる「デジタル遺品」については言葉としても比較的新しく、実際にどんなものなのか想像がつきにくいという方が多いかもしれません。
2021.04.27
パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器が広く普及し、私たちの生活にとって身近なものになりました。
若い方はもちろん、シニアと言われる年代のユーザーも増え、高齢でもガラケーではなくスマートフォンを使う方も増加しています。
生活を豊かにしてくれるデジタル機器ですが、遺品整理の観点からみると、デジタル機器ほど事前に備えをしておくべきものはないかもしれません。
デジタル遺品の特徴はいろいろありますが、遺品整理物として考えた場合の最たる点は「中身を確認しにくい」ことだと考えられます。
たとえば故人のスマートフォン。スマートフォンには画面ロック機能が備わっています。ロック機能を有効にすることで他人が勝手にスマホの中身を見られないようにできますし、スマートフォンでキャッシュレス決済を使う場合には、スマートフォンにパスワードを設定しておく必要があります。
通常こうしたパスワードは本人しか把握していないため、故人のスマートフォンにアクセスすることは極めて困難になります。
スマートフォンによっては、数回パスワードを入力し間違えるとスマートフォン内のデータを初期化するという設定がされている場合もあります。安易にパスワードの入力を試すことも難しいと言えます。
加えてパスワードの方法も多様化しています。文字列の場合もあれば指紋認証や顔認証といった、個人の身体的特性を応用したパスワード設定がされている場合もあります。この場合、故人から取得することが難しい場合もあり、パスワードの解読はさらに困難を極めます。
最近ではスマートフォンでお金の管理や支払いをしたり、確定申告など行政的な手続きを行えるようにもなりました。重要な情報を保存する場合もあり、今やスマートフォンは生活インフラとして私たちに欠かせない道具となりました。
それほど重要な道具になったからこそ、いざという時に何も手出しできないような事態になった時、コトの深刻度が高いと言えます。
一方でスマートフォンのパスワードはプライベートなものである場合も多く、家族とはいえ身近な人のそうした情報を把握することに抵抗があるというケースもあります。
それでも遺品整理という観点から考えた場合、備えあれば憂いなし。デジタル機器のパスワード情報などは有事に備えて共有できる体制を取っておくに越したことはないと考えます。
2021.03.26
前回のコラムでは「遺品整理業における悪質な業者を見分ける10
「遺品整理業における悪質な業者を見分ける10のポイント」
今回は10のポイントのうち、最後の10個目「領収書の発行は可能か?」
これまでのポイント補足で説明してきたとおり、遺族が遺品整理を業者に依頼する際に最も遭遇しやすい問題が金銭トラブルです。
「当初の見積もりより高い金額を請求された」「予定になかった作業費が含まれていたことに後から気づいた」など、遺族にとって精神的・金銭的負担が大きい問題が起こってしまうことが、遺品整理の現場ではあります。
「言った言わない」「払った払わない」の問題を未然に防ぐ方法はいろいろありますが、形に残らない「口約束の契約」は特に気をつける必要があります。
支払手続きを問題なく進めるためにも、遺品整理業者はお客様の要望に応じた書類の準備ができるようにしておくべきです。
その中でも領収書はお金に関わる大切な書類の1つ。「領収書を発行する手間が惜しい」「銀行振込しか受け付けない(領収書は発行しない)」といった柔軟さに欠ける姿勢では、遺品整理という遺族に心を寄せることが必要な仕事にとって、そもそもの資質に問題があると言えます。
近年ではキャッシュレスなど多様な決済手段が広まってきました。これからは「スマホ決済で」「キャリア決済で」「カードで」など、多種多様な方法で作業費の支払いを希望される遺族が増えると予想されます。今後は時代と遺族のニーズに応じた多様な支払い方法に対応していくことがますます求められていくでしょう。
2021.03.01
前回のコラムでは「遺品整理業における悪質な業者を見分ける10
「遺品整理業における悪質な業者を見分ける10のポイント」
今回は10のポイントのうち、9の「万が一のための損害賠償保険に加入しているか?」
遺品整理の仕事はいわゆる「混沌」とした現場も多くあります。事前に下見をした上で慎重に作業を行っていても、大きな遺品を搬出する際に意図せずお家の壁や設備に傷をつけてしまう可能性があります。
残念ながら業者さんによってはこうした過失を依頼者に隠したまま整理業務を続けるという悪質なケースもあるようです。
当組合が関わらせていただいた遺品整理(アパートでの孤独死)の案件では、不動産会社もしくは親族関係から保険を使い遺品整理を行いたいとのお申し出があり、ご希望の通り対応させていただきました。
遺品整理の現場ではきめ細やかな気配りや対応が求められます。通常の整理業務も慎重に行わせていただいておりますが、万一に備えての保険に関わる対応もお気軽にご相談いただければと思います。
2021.02.03
前回のコラムでは「遺品整理業における悪質な業者を見分ける10
「遺品整理業における悪質な業者を見分ける10のポイント」
2020.12.20