エンディングノートと遺言書の違い

自分の死後に残された者へ伝えるべき事項をまとめ、ノート形式で記入する「エンディングノート」。本人が生前に残しておくことで、将来残された家族に対する様々な負担を軽減することにもつながることから利用者が増えています。

エンディングノートのイメージ

一方で「エンディングノートに書いたから死後の遺産相続についても安心」と考えるのは早計。実はこうした「エンディングノートと遺言書の違い」について、よくわからないというケースも多く、それによるトラブルも起きているようです。

エンディングノートは法的効力をもたない

重要なポイントは、エンディングノートは法的効力をもたないということ。これが遺言書との大きな違いのひとつです。本人が遺産相続についてエンディングノートに書き記しておいたとしても、法的効力がない=実効性がないということになります。

問題なのは「遺言書とエンディングノートに書かれている内容が異なること」によるトラブル。

たとえば遺産相続について、遺言書では「遺産はAに与える」と書いていたのにエンディングノートには「Bに与える」と書かれているような場合。仮に本人の真意がエンディングノートに書かれた方だったとしても、法的には遺言書に書かれたものが効力を持ちます。そうは言っても本人が遺したものに齟齬が生じることで残された家族間でのトラブルに繋がる可能性は十分考えられます。

エンディングノートと遺言の違い

以下は日本経済新聞に掲載された、エンディングノートと遺言の違いです。

エンディングノートと遺言の違い(日本経済新聞より)
  エンディングノート 遺言
形式 自由 法定あり
内容 自由 財産や相続のこと
法的効力 なし あり
費用 なし
(ノート代など)
■自筆証書遺言
なし。ノート代など

■公正証書遺言
財産価値により
30〜50万円

形式や内容、費用など柔軟な点が魅力のエンディングノートですが、残された家族のことを考えた場合、法的効力がある遺言との区別をきちんと踏まえた上でそれぞれを用意するのが良いようです。