自分で食事をとるのが難しくなった時に備えるためのエンディングノート活用方法

エンディングノートというと「自らが亡くなった時に備えて用意しておくもの」と考える方が多いと思います。

しかしエンディングノートに書き記した内容は意外にも、生前の自分を助けてくれることもあります。

たとえば食事。予期せぬ事故や病気などによって命を落とすまでではないものの、自分で食事をとるのが難しくなるという場合があるかもしれません。

そんな時に備えてエンディングノートに「自分で食事をとるのが難しくなった時、どんな方法で栄養摂取したいか」等のことを書き記しておくことで、事後も自分が納得のいく栄養摂取や食生活を送れる可能性が高まります。

高齢者に食事の介助をする介護士

それでは食事についてどんなことをエンディングノートに書いておけばよいのでしょうか。

「看取り医がつくった人生を大切に過ごすためのエンディングノート」(田谷光一 著)に書かれているポイントを抜粋してご紹介します。

食べることができなくなったときに備えて書いておきたいこと

食事が自力でできなくなってしまった場合、どのような方法で栄養をとることを希望するかについて、以下の方法などが考えられます。

飲み込める量を小分けにして口から食べさせてもらう

食材を小さく刻んだり、とろみをつけたり、ペースト状にするなど調理を工夫して食べやすくする方法です。他の方法よりも体への負担は軽いのがメリットです。

経鼻チューブでの栄養摂取

細く長いチューブやカテーテルなどを鼻から入れ、食道を通して胃や腸に直接、栄養素や水分、薬などを投与する方法です。メリットは手術の必要がないので、胃ろう摂取よりも体の負担が軽い点です。

胃ろうでの栄養摂取

内視鏡などを使用してお腹に穴を開け、胃に管を通して栄養や水分、薬などを注入します。誤や肺炎などを起こしやすい患者や、胃や腸の消化管には問題がない人に適した方法です。胃ろうは経鼻注入よりも誤の危険性が低下し、頻繁なチューブの交換などのストレスが少ないとされているようです。

点滴による栄養摂取(末梢静脈栄養)

腕や足などの末梢静脈に短いカテーテルを挿入し、栄養を直接注入する方法です。食べられない期間が比較的短めの方が対象となります。特別な技術が必要なく、危険性も低く、合併症も起こりにくいのがメリットです。

点滴による栄養摂取(中心静脈栄養)

経鼻チューブや胃ろうなどで栄養や水分、薬を摂取できないときや、起き上がることや動くことができなくなった場合に、心臓から最も近く、太くて血流の速い中心静脈にカテーテルを挿入して濃度の高い栄養の輸液を直接注入する方法。何度も針で刺し直す必要がなく、直接血液に栄養を注入するため消化器官などの負担が軽減されます。